特定アプリ/サービスのデータ通信を課金対象から外す「カウントフリー」を武器に格安スマホ市場に参入したLINEモバイル。LINEが誇る顧客基盤の強みを生かして台風の目になると有力視されていた。

 だが、蓋を開けてみれば厳しい現実が待ち構えていた。MM総研が2017年12月に公表したMVNO(仮想移動体通信事業者)の契約数シェアを見ると、LINEモバイルはランク外(7位以下)。MMD研究所が2018年3月に公表した格安SIMの利用動向調査(メイン利用が対象)によれば、シェアは3.2%で10位(FREETEL SIMを除けば9位)である。

 LINEモバイルの参入は2016年9月とだいぶ後発だったため、むしろ健闘しているとの見方も多いかもしれない。ただ、2018年1月には戦略的提携により、ソフトバンク傘下に入ることを発表。2018年4月に公表した2017年12月期決算で相当に苦しい台所事情が明らかとなった。早期の事業好転は難しく、ソフトバンクに助けを求めたというのが実情とみられる。はたして巻き返しとなるか。

カウントフリーが重荷?

 LINEはソフトバンクとの戦略的提携を発表した際、LINEモバイルの順調ぶりを強調していた。格安スマホ市場の成長が鈍化する中、2017年10~12月期の申込件数は前年同期比2.3倍に伸び、2017年12月にはARPU(契約当たり月間平均収入)も同1.3倍に拡大。サービス開始以降の「平均月間解約率」も0.92%の低水準としていた。

ソフトバンクとの提携発表時には順調な成長をアピールしていた
出所:LINE
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 ところが、LINEモバイルが2018年4月に公表した2017年12月期決算には業界関係者が一様に驚いた。売上高は33億8514万円に対し、営業損失は同規模の33億1153万円と赤字。当期純損失も33億1358万円の赤字となっている。

官報に公表されたLINEモバイルの2017年12月期決算
出所:インターネット版官報
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 中でも目を引くのが、売上原価の高さ。38億6772万円と売上高を上回っている。同社は速度調査で比較的高い評価を得ているため、帯域料金(回線調達費用)が高く付いている可能性もあるが、多くの業界関係者が指摘するのはMVNE(MVNOの参入を支援する事業者)とカウントフリーの存在だ。

 MVNEを採用すれば当然、何らかの形でマージンが上乗せされる。売り物のカウントフリーもユーザーに課金できない分、持ち出しとなり、通常のMVNOに比べて帯域の費用負担が増える。同社はカウントフリーを実現できるMVNEとしてNTTコミュニケーションズを選んだわけだが、まさにこの決断が予想以上の重荷となっている可能性がある。

 さらにLINEモバイルはコンシューマー向けが中心。MVNOではIoT(インターネット・オブ・シングズ)をはじめ、法人向けの両展開でトラフィックを分散させ、調達した帯域を最大限に有効活用するのが王道だ。同社は帯域の“贅沢使い”となっている。

 販売費及び一般管理費も28億2895万円と高い。LINEの顧客基盤と知名度があればネット中心の販売でも契約数を伸ばせそうだが、即日の受け渡しを含め、やはり取扱店舗の拡大が重要と判断。効率は良いが、手数料も高い量販店を中心に販路を一気に拡大した。「テレビCMを流していたほか、かなりアグレッシブなキャンペーンを展開していたため、収益を圧迫しても不思議ではない」(競合他社)。

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