電子部品を載せて電子部品同士をつなぐ役割を果たすプリント基板は、電子機器を構成する重要な要素の1つだ。しかし、普段は目にすることがない地味な存在でもある。それ故、製造工程を目にする機会はなかなかない。一体、プリント基板はどのように作られるのか。工場を訪問して製造の現場を見せてもらうことにした。

 今回、工場見学を快く引き受けてくださったのは、埼玉県所沢市に本社工場を構える省栄プリント製作所だ。近隣には川が流れ公園などの緑が多いものの、畑と工場や物流拠点が混在する場に位置する。そんな中でも、5階建てと高さがある同社工場は目立つ存在だ。

省栄プリント製作所の本社工場。写真には写っていないが、奥の方に関越自動車道が通っている
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 同社は1969年設立の中小企業規模のプリント基板メーカーで、代表取締役の伊藤省三氏は自ら「町工場」と呼ぶ。多品種少量生産を想定し、あえて「非自動化」を選択しているという。プリント基板の製造工程を追うには分かりやすい事例と言える。

 まずはプリント基板の製造工程を見ていこう。「2層基板」を例に紹介する。2層基板の「2層」とは、「配線層が2つある」という意味だ。

 プリント基板の元になるのは、絶縁材の表面に銅箔を貼り付けてある「銅張積層板」だ。2層基板の場合は、両面に銅箔を貼ってあるタイプを使用する。

 省栄プリント製作所では各種銅張積層板について定尺の1m×1m品を用意する。どの銅張積層板を使うかは、熱や電圧など応じて選択する。同社では銅箔の厚みが105μmや70μmと厚い基板を多く使う。アナログ基板」と呼ばれる電源系やセンサーなどに向けた基板を得意とするためだ。

銅張積層板置き場。絶縁材の材質や板厚、銅箔厚で整理している。「FR-4」はガラスエポキシ基板(通称「ガラエポ」)のこと。ガラス繊維で織った布(ガラス布)にエポキシ樹脂を含侵させて硬化させたもの。多くの用途で使われる。「CEM-3」はガラスコンポジット基板で、ガラス布とガラス不織布を使った複合基材にエポキシ樹脂を含侵させて硬化させたもの。FR-4に比べると寸法安定性や機械強度が劣るものの、ほぼ同性能で低コストという特徴がある
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