富士通は2018年5月15日、組み合わせ最適化問題を高速で解くことに特化した専用コンピュータ「デジタルアニーラ」の商用サービスを開始した。クラウドサービスとして計算能力を提供するほか、専門技術者や関連SEからなる1500人体制で顧客の問題解決を支援する。

商用化したデジタルアニーラの筐体
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 富士通は代表的な適用領域として交通、物流、金融、医療、化学などを挙げるが、「あらゆる業務に最適化問題が関わっている」(吉澤尚子 執行役員常務 デジタルサービス部門副部門長)。現在、デジタルアニーラの提供料金はメニュー化されていないが、「技術支援なども含めて月額数十万円から」の料金で顧客にサービスを提供するという。

 同社は関連するSIビジネスも含め、今後5年間で累計1000億円を売り上げる計画だ。すでに10社ほどのユーザー企業が先行導入しているという。

既存のデジタル回路技術で組み合わせ最適化問題を解く

 多数の都市を1度ずつ訪問する場合の最短経路を探し出す「巡回セールスマン問題」のような組み合わせ最適化問題に特化した専用計算機は、量子コンピュータが商用化で先行している。カナダのディーウェーブ・システムズが世界で初めて商用化した量子アニーリング方式の計算機だ。

 一方、富士通が開発したデジタルアニーラは、「量子アニーリングに着想を得た独自技術を採用している」ものの、あくまで既存のデジタル回路技術で開発されたコンピュータだ。

 それでも実際に解ける問題の範囲や規模など、「現在での実用性では(ディーウェーブの)量子アニーリングを上回っている」(吉澤執行役員常務)と自信を見せる。富士通がうたうデジタルアニーラのキャッチフレーズは「実用性で量子コンピュータを超える」。そのうたい文句通りに、商用化で先行した量子アニーリングマシンを超える実力を備えるのか。

1024ビットの全結合を実現

 富士通が開発したデジタルアニーラは、組み合わせ最適化問題を解くための専用演算ユニット「DAU(Digital Annealing Unit)」を搭載する。量子アニーリング機になぞらえれば、全ビットが結合した1024量子ビットに相当する規模の問題を扱える。各ビット間の結合度は16ビット相当の6万5536階調という精度で記述できる。

 一般に量子アニーリングでは、量子ビットの数が組み合わせの要素の数に相当する。例えば巡回セールスマン問題を解く場合、1024量子ビットの計算機は32の都市を順番に32カ所巡る組み合わせに対応する。富士通のデジタルアニーラは量子ビット間の結合精度が16ビットなので、都市間の距離を16ビットで表現したうえで32の都市を制約なく組み合わせて最短経路を探索できるということになる。

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