富士通は2018月5月15日、イジングマシン型専用コンピューターである「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer(DA)」の「デジタルアニーラ クラウドサービス」および、解きたい問題の定式化などアプリケーション開発も支援する「デジタルアニーラ テクニカルサービス」の提供を始めたと発表した。まずは専門技術者と関連するシステムエンジニア計1500人態勢でこの事業をスタートする。

 さらには、DAを柱とする富士通の人工知能(AI)ビジネスを世界に展開するための拠点として「AI Headquarters(AI HQ)」をカナダ・バンクーバーに、2018年上期中に設立するとした。2022年までの5年間で累計1000億円の売り上げを目指すという。

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バンクーバーに中核拠点を設置

 これらのサービスによって、これまで従来のノイマン型コンピュータでは計算量が膨大で解くことができなかった大規模な組み合わせ最適化問題の多くを1秒程度の短時間で解けるようになるとする。例えば、物流における渋滞軽減、工場内の動線の最適化、多数の自動運転車の経路の最適化、金融のポートフォリオの最適化、化学、創薬における分子類似性検索の高速化、個別広告の精度向上、ガンマナイフなど医療におけるがん放射線治療の治療計画の自動化と高速化などだ。

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DAで「既存のコンピューターの限界を超える」
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主に組み合わせ最適化問題に適用へ

スパコン「京」の1084倍高速な例も

 問題によっては、同社が開発したスーパーコンピューター「京」を宇宙年齢稼働させても、まったく時間が足りない問題において、DAでは1秒で解を得られる例があるという。具体的には、東京湾岸エリアにおける交通渋滞回避のための経路最適化問題において、京で総当たりで解くと1084秒(宇宙年齢は138億年、または4.35×1017秒)かかる問題を、DAでは1秒で解けるという。同社のDAのキャッチフレーズは「量子コンピューターを実用性で超える」だ。

 既にこれらのサービスの先行ユーザーは10社ほどいるとする。具体的には、リクルートコミュニケーション、三菱UFJトラスト投資工学研究所(MTEC)、富士フイルム、フィックスターズなどである。リクルートはマーケティング技術の研究開発、MTECは資産運用におけるポートフォリオ最適化、富士フイルムは、多品種少量生産の生産ラインの最適化などに用いているとする。これらのサービスの利用料金は「月額数十万円からが目安」(富士通)という。

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