これからの時代、保有するデータの質と量が経営の勝敗を決める──。そう言っても、決して言い過ぎではなくなってきた。実際、米国を見れば、ビッグデータをかき集めているグーグルやアマゾン・ドット・コムの成長は著しい。

 国内に目を向けると、非常に良質で大量のデータを保有している企業といえば、通信業者だ。なかでもNTTドコモは他社がうらやむほど高精度なデータを長年蓄積してきている。携帯電話やスマートフォンの利用者に、dポイント会員などを加えた「巨大な顧客基盤」が生み出すビッグデータは、まさに宝の山だ。

 ただしそれは膨大なデータを使いこなせて初めて言えること。ビッグデータの処理が手に余るようでは宝の持ち腐れになる。ドコモは2010年代に入り、データ分析を大幅に強化するため、専任部隊の人員増強と育成を続けてきた。データ分析組織に相当する、情報システム部内の「情報戦略担当」は2009年に約50人だったが、2018年春には約150人体制と3倍になっている。

 人数は3倍だが、分析件数の伸びはもっと大きい。同じく2009年比で、現在は分析件数が約7倍になっている。データ分析がドコモの2018年3月期の好決算につながったというのは大げさかもしれないが、増収増益に貢献したコンテンツ(dシリーズ)や金融・決済などの「スマートライフ領域」はドコモ社内でも特にデータ分析が盛んだ。同社の2018年3月期(米国会計基準)の売上高は前期比4.0%増の4兆7694億円、営業利益は同3.0%増の9733億円と増収増益だった。

 分析組織を拡大するだけではなく、データ分析基盤の整備にも大規模な投資を断行した。2017年3月には欧州SAPのインメモリーデータベース「SAP HANA」が稼働。ドコモは世界最大級のSAP HANA利用企業になった。ドコモの基幹システムからビッグデータを抽出し、瞬時に分析できるようになったわけだ。

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