独ダイムラー(Daimler)の新型直列6気筒ガソリンエンジン「M256」。V型6気筒を廃止し、直6に変えた(関連記事「ベンツ直6復活、V6廃止 背景にディーゼル規制」)。

 直6実現のカギを握ったのが、エンジン全長が延びるのを抑えたことだ。Daimlerは排気量を増やす機種展開をやめる決断を下し、全長短縮を実現した。排気量でクルマの商品力を競う時代の終焉を象徴する。

[画像のクリックで拡大表示]
直6ガソリンエンジンは、9速自動変速機と組み合わせる。直6と思えぬほど全長が短い。写真右側が車両前方

 1997年に生産中止した「M104」以来、約20年ぶりの直6エンジン。メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)ブランドの「Sクラス」に搭載する。排気量は3.0Lだ。

 直6の開発責任者であるラルフ・ヴェラー(Ralph Weller)氏は、「エンジン開発の流れはダウンサイジング。排気量を増やす方向ではない」と語り、直6の排気量は3.0Lにとどめ、増やす機種を想定していないと明かした。従来のV6には、3.0L版に加えて3.5Lの大排気量版があった。

 6気筒を1列に並べる直6は、3気筒を2列に並べるV6に比べてエンジン全長が延びる。全長短縮の実現にDaimlerが考えた手法が、隣接した気筒の中心間距離であるボアピッチを90mmまで短くすることだ。もはや1気筒あたりの排気量を増やす余地はないと言えるほどに短い。ボアピッチは、エンジンブロックの全長に直結する。従来のV6は106mmだった。

 直6の気筒の内径(ボア)は、83mm。隣の気筒との壁間の肉厚はわずか7mmと薄くなる。従来が18mmだから、半分以下だ。これほど薄いと、内径を延ばして排気量を増やす策を採るのは難しい。新型直6の比出力は106.7kW/Lと、量産車用で世界最高水準といえるエンジン。7mmの肉厚は攻めた設計という印象だ。

[画像のクリックで拡大表示]
エンジンブロックを共用する直4ガソリンの気筒。ボアピッチと内径は直6と同じである

 排気量を増やす手段として、ピストンの動く長さである行程(ストローク)を延ばす方法もあるが、可能性は低い。新型直6の行程は92.4mmと長いからだ。ストローク/ボア比は1.11と、他社エンジンに比べて十分にロングストローク。さらに延ばせなくはないが、エンジン回転速度を高めにくくなる。高性能車に使いにくい。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら