米ゼネラル・モーターズ(GM)が2019年に量産する無人で走れる完全自動運転車「Cruise AV(クルーズAV)」(前編)。自動運転技術の開発で先行する米グーグル系ウェイモ(Waymo)への対抗意識を強くにじませた車両だ。

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クルーズAVの外観
シボレーブランドのEV「ボルト」を基に開発。現在の実験では人が乗り、緊急時に備える(出所:GM)

 技術面でカギを握るのが、冗長性である。GMは、主要機能が失陥した場合でも安全に走り続けられる仕組みを構築したとする。自動運転車の販売で最も重要になる安全性と信頼性についてコストをかけて念入りに高め、Waymoを追撃する。

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Waymoが開発中の自動運転車
フィアット・クライスラー・オートモービルズのミニバン「パシフィカ」を基に開発している(出所:Waymo)

主役はLIDAR、自己位置推定に冗長性

 クルーズAVの自動運転システムには、三つの基本機能がある。「認識(Perception)」と「走行計画(Planning)」、「車両制御(Control)」だ。全ての基本機能で、冗長性に配慮した設計にした。

 「認識」機能は、車両周囲の物体の位置や速度、方向、種類を計算する。中核が、車両周囲の360度を認識するセンサー群である。動作原理の異なる3種類を使い分けることに加えて、同じ場所を複数のセンサーで検知することで“冗長”にする。

 センサーとしてLIDAR(赤外線レーザーセンサー)を5個、カメラを16個、ミリ波レーダーを21個搭載。あるセンサーが失陥した場合、残るセンサーで周囲360度の認識機能を維持する。

 3種類のセンサーのうち、主役をLIDARにした。LIDARだけで、安全に走れる基本的な検知機能を実現するようだ。車両周囲の固定物と移動体の形や大きさ、車両との距離を検知できる。GMは2017年10月、LIDARを開発する新興企業の米ストロボ(Strobe)を買収。開発に力を注いでいる。

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実験車の屋根に5個のLIDARを搭載
米ベロダイン(Velodyne)製とみられる(出所:GM)

 一方でミリ波レーダーは、主に移動体の検知を担い、LIDARを支援する。電波の反射により車両と移動体の相対速度を測るのが得意だからだ。LIDARとミリ波レーダーは、レーザー(光)と電波で測定原理が異なるため、「レーザー光の反射率が低い場合に電波の反射で補える」(GM)という補完関係もある。

 カメラは、距離や速度の検知というよりは、主に物体の分類と追跡に使う。物体の色や形を高精細に検知できる特徴を生かす。ただし複数のカメラに距離を検知する機能を備えるようで、LIDARが失陥した場合にある程度代替できるとみられる。

 「認識」機能にはセンサー群による物体検知に加えて、「自車位置推定(Localization)」機能を含む。自動運転の根幹で、失陥するか推定精度が大きく下がると自動運転が破綻する。GMは「複数の手法で推定している」とし、同機能に冗長性を持たした。

 例えばカーナビで一般的なGNSS(衛星測位システム)とジャイロセンサーを組み合わせる手法や、LIDARなどで測定した特徴物と高精度地図データの位置を照合する手法などで同時に自車位置を推定している。

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